機種名を1つずつ暗記する必要はありません。
まずはこのマップで、自分が知りたい機械がどのグループに入るのかを確認してみてください。
農機具の種類図鑑|作業別に主要機種を写真つきで解説
ここからは、全体マップの7グループを順番に解説します。それぞれの機械が「何をするためのものか」「どんな人に必要か」をセットで紹介するので、名前だけ知っている機械のイメージがつかめるはずです。
①耕す・整える農機具

農作業の出発点は土づくりです。このグループは農機具の中でもっとも種類が多く、価格も高い「主役級」の機械が集まっています。特にトラクターは、アタッチメント(作業機)を付け替えることで耕うん以外の作業もこなす、農場の動力源です。
後部にロータリーやプラウなどの作業機を付け替えて、耕うん・代かき・畝立て・運搬までこなす農業の中心機械です。馬力(PS)で大きさが分かれ、家庭菜園向けの十数馬力から大規模農家向けの100馬力超まで幅広くあります。
歩きながら操作する「耕す専用」の機械です。トラクターが入れない狭い畑や家庭菜園で活躍します。トラクターとの違いは後の章で詳しく解説します。
見た目は耕運機に似ていますが、アタッチメント交換で畝立て・中耕・土寄せなど「栽培管理」の作業まで広くこなせる機械です。プロ農家の畑作で定番です。
いずれもトラクターに装着するアタッチメントです。ロータリーは爪の回転で土を砕く定番の耕うん機器、プラウは土を深く掘り起こして反転させる洋式の犂(すき)、ハロー(代かきハロー)は田植え前に土を細かく砕いて田面を平らに仕上げます。
畦塗機は田んぼの畦(あぜ)を塗り固めて水漏れを防ぐ機械、レーザーレベラーはレーザーで田面の高低差を測りながら均平に仕上げる機械です。どちらも稲作の水管理を支える裏方です。
②種まき・植える農機具

種や苗を「植える」工程の機械です。代表格の田植機はもちろん、稲作では田植えの前段階である育苗(いくびょう)にも専用機がいくつもあります。米農家の機械が多いのはこの育苗工程があるためで、「米作りは機械が多くてお金がかかる」と言われる理由のひとつです。
育てた苗を水田に等間隔で植え付ける機械です。歩行型と乗用型があり、一度に植えられる列の数「条数(じょうすう)」が多いほど大型・高価になります。中古市場でも需要が高い機種です。
種を等間隔でまく機械です。手押しの簡易なものから、トラクターに装着する大型のものまであります。野菜農家や麦・大豆農家の省力化に欠かせません。
種籾(たねもみ)の発芽をそろえ、温度管理をしながら健康な苗を育てるための機械です。天候に左右されずに苗づくりができます。
キャベツや白菜などの苗を畑に植え付ける機械です。手作業では重労働の定植作業を大幅に省力化できます。
③育てる・守る農機具(草刈り・防除)

作物が育つ間の「守る」作業を担うグループです。雑草対策の草刈り系と、農薬・肥料をまく防除・散布系に分かれます。草刈り系は農家だけでなく一般家庭でも使われるため、農機具の中でもっとも身近な存在と言えます。
肩に掛けて先端の回転刃で草を刈るのが刈払機です。自走式や乗用式(乗用モア)、斜面に強いスパイダーモア、トラクターに付けるフレールモアなど、広さと地形に応じた種類があります。
農薬や液体肥料を霧状にして散布する機械です。背負い式の小型から、エンジン付きでホースを伸ばして使う動噴まで規模に応じて選ばれます。
ブームスプレーヤは左右に長いアーム(ブーム)を広げて田畑に一気に散布する機械、スピードスプレーヤ(SS)は果樹園で木々の間を走りながら散布する専用機です。
トラクターの後ろに付けて、粒状の肥料を広範囲にまくアタッチメントです。手まきに比べてムラなく短時間で施肥できます。
近年普及が進む空からの散布機械です。人が入りにくい圃場でも短時間で農薬散布ができ、スマート農業の代表格として注目されています。
④収穫する農機具

収穫は農作業の集大成であり、このグループの機械は農機具の中でも特に高価です。その分、収穫期の短い期間に作業を終わらせる力は絶大で、稲作の規模拡大はコンバインの性能に支えられていると言っても過言ではありません。
稲や麦の「刈り取り・脱穀・選別」を1台で同時にこなす収穫の王様です。日本の稲作用は自脱型と呼ばれるタイプが主流で、田植機と同じく条数で大きさが決まります。
稲を刈り取って束ねる(結束する)ところまでを行う機械です。天日干し(はざかけ)でお米を作る農家や小規模な田んぼで今も現役です。
刈り取った稲から籾を外す「脱穀」を行う機械です。バインダーとセットで使われることが多く、豆用・芋用など作物専用のハーベスターもあります。
じゃがいも・玉ねぎ・にんじんなど、作物ごとに専用設計された収穫機です。土の中の作物を傷つけずに掘り上げる掘取機は、いも農家の必需品です。
⑤乾燥・調製・保管の農機具

収穫したあと、お米を「売れる状態」に仕上げるのがこのグループです。一般の方には馴染みが薄いものの、米農家の納屋には必ずと言っていいほど並んでいる機械たちで、中古市場でも安定した需要があります。
収穫したての籾は水分が多く、そのままではカビや品質低下の原因になります。乾燥機で適正な水分量まで乾かすことで、長期保存と食味の維持が可能になります。
乾燥した籾から籾殻を取り除いて玄米にする機械です。「籾すり」は出荷前の重要な工程で、乾燥機とセットで導入されます。
玄米から小石や未熟な粒、着色した粒を取り除く機械群です。特に色彩選別機はカメラで不良粒を検出する精密機械で、米の等級・品質を左右します。
精米機は玄米を白米にする機械、低温貯蔵庫はお米や野菜の鮮度を保つ保冷庫です。自宅用の小型精米機は直売や自家消費のこだわり派に人気があります。
⑥運ぶ・その他の農機具
収穫物や資材の運搬、圃場まわりの維持管理を支えるグループです。主役ではありませんが、「あると作業がまったく違う」縁の下の力持ちで、農家の作業場には何かしら置かれています。
クローラ(キャタピラ)で悪路や傾斜地を走れる荷物運びの専用機です。収穫物や肥料、資材の運搬で活躍します。
トラクターで牽引する荷台です。大量の収穫物や機械の移動に使われます。
泥だらけになった農機具の洗浄に使います。使用後の洗浄は機械を長持ちさせる基本メンテナンスであり、売却時の査定額にも影響します。
チッパーは剪定枝を細かく砕く機械、除雪機は雪国の必需品、トレンチャーは溝掘り専用機です。地域や作物によって「その土地ならでは」の機械が加わります。
⑦手作業の農具(家庭菜園の定番)

エンジン付きの機械だけが農機具ではありません。家庭菜園や小さな畑では、昔ながらの手農具が今も第一線です。「農機具の種類」を調べる方の中には、実はこの手農具の名前を知りたかったという方も多いので、代表的なものを紹介します。
平鍬は土を耕す・畝を作る・除草までこなす万能鍬です。刃が3〜4本に分かれた備中鍬は、粘土質の硬い土を掘り起こすのが得意です。
どちらも立ったまま除草や土寄せができる道具です。三角ホーは三角形の刃で削るように草を取り、ジョレンは縁付きの刃で土をすくいやすいのが特徴です。
三日月鎌は柔らかい草刈り用、ギザ刃の鋸鎌(のこがま)は硬い茎も引き切りでき、稲刈りにも使われます。ネジリ鎌は地面を削るように除草できる小型の鎌です。
剣先スコップは硬い土の掘り起こし用、レーキ(熊手)は土ならしや落ち葉集め用です。干し草や堆肥を扱う先が数本に分かれた道具は「ピッチフォーク(農用フォーク)」と呼ばれます。
紛らわしい農機具の違いを整理|トラクターと耕運機はどう違う?
農機具の種類を調べていると、必ずつまずくのが「似ている機械の違い」です。実際、知恵袋などの質問サイトでも「トラクターと耕運機の違いは?」「管理機と耕運機はどう違う?」という質問が数多く投稿されています。この章では、特に混同されやすい3組をすっきり整理します。
トラクター・耕運機・管理機の違い
| 機種 | できること | 向いている人 |
|---|---|---|
| トラクター | 乗って運転。作業機の付け替えで耕うん・代かき・運搬など何でもこなす動力源 | 広い田畑を効率よく作業したい農家 |
| 耕運機 | 歩いて操作。基本は「耕す」専用 | 家庭菜園や狭い畑を手軽に耕したい人 |
| 管理機 | 歩いて操作。アタッチメント交換で畝立て・中耕・土寄せなど栽培管理まで対応 | 野菜づくりの一連の作業を1台で済ませたい人 |
ポイントは「乗るか、歩くか」と「耕す専用か、応用が利くか」の2軸です。広い圃場に出入りできるならトラクターが1台あれば耕運機の役割はほぼカバーできます。
一方、ハウスの中や狭い庭先の畑ではトラクターは小回りが利かないため、耕運機・管理機の出番になります。
なお、メーカーの区分では業務用を「管理機」、家庭菜園向けの小型機を「ミニ耕運機」と呼び分けるのが一般的です。
コンバイン・バインダー・ハーベスターの違い
| 機種 | 刈り取り | 脱穀 | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| コンバイン | ○ | ○ | 刈り取りから選別まで全部1台で完結 |
| バインダー | ○ | × | 刈って束ねるまで。天日干し派の相棒 |
| ハーベスター | × | ○ | 刈った稲の脱穀を担当。バインダーとセット |
「コンバイン=バインダー+ハーベスター」と覚えると簡単です。
コンバイン(combine)は英語で「組み合わせる」という意味で、刈り取りと脱穀の機能を組み合わせた機械だからこの名前が付いています。
ちなみにトラクターとコンバインの違いを問われることもありますが、トラクターは「耕す・引っ張る」ための動力源、コンバインは「収穫」の専用機で、役割がまったく異なります。
草刈機・刈払機・芝刈機の違い
この3つは日常会話ではほぼ同じ意味で使われますが、厳密には範囲が違います。
「草刈機」は草を刈る機械の総称で、その中に肩掛け式の「刈払機」、自走式・乗用式のモア類が含まれます。
「芝刈機」は芝生を均一の高さに刈りそろえる専用機で、伸びた雑草を払う刈払機とは刃の構造も用途も別物です。
ホームセンターで購入する際は、雑草対策なら刈払機、芝生の手入れなら芝刈機と覚えておけば間違いありません。
農機具の種類に関するよくある質問
Q. 農機具にはどんな種類がありますか?
Q. 農機具の4大メーカーはどこですか?
Q. トラクターとコンバインの違いは何ですか?
Q. 米作りに必要な農機具は何ですか?
Q. 名前がわからない農機具を調べる方法はありますか?
Q. 初心者がまず揃えるべき農機具は何ですか?
【まとめ】農機具の種類は「作業」で覚えれば迷わない
農機具の種類は数十種類以上ありますが、「耕す→植える→守る→収穫する→仕上げる→運ぶ」という作業の流れで整理すれば、全体像は決して複雑ではありません。
最後に本記事の要点を振り返ります。
買い替えや離農などで使わなくなった農機具をお持ちの方は、種類や状態を問わずまずは査定に出してみてください。
処分費用を払うつもりだった機械に、思わぬ値が付くことは珍しくありません。
当サイトではお住まいの地域ごとの農機具買取業者も紹介していますので、あわせて参考にしてください。
